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2005/08/07

万博大学第10回講義ノート「地球と社会のフロンティア・・・ロボットで未来を拓く」須藤誠一氏

 先回の藤野氏に続き、今回も企業人であるトヨタ自動車の須藤氏が講演。今回はノート風にまとめる。
 (須藤氏略歴)1951年生まれ。74年東京理科大学機械科卒業後トヨタ自動車に入社。2001年よりTMMNA(トヨタモータマニファクチュアリング・ノースアメリカ)社長。燃料電池やロボット開発に携わる。

パートナーロボットとは
 従来のロボットから進んで、人の役に立つ「かしこさ、やさしさ」を有し、人と共生可能な知能化機械の創造をめざす。人と機械の共生のために、パートナーロボットに求められるものは、高いコミュニケーション能力、人に合わせる動作能力、安全・安心の柔らかい行動、である。

様々なロボットたち
多目的ロボット(ヒューマノイドロボット) 2本の脚と2本の腕、目に相当するカメラを持つ。
 ・ASIMO(Honda) 
 ・HRP-2(産業技術総合研究所) 見まねをする(カメラで踊りを記憶し、再現する)
 ※リンク先にパネル建て付けを行うHRP2のムービーがある。講義では紹介されなかったが、なかなかかわいらしい。
受付・案内ロボット 人と会話をするロボットたち
 ・wakamaru(三菱未来館)
 ・アクトロイド(ココロ、アドバンスト・メディア) 4カ国語を話す。
エンタテイメントロボット 人を楽しませる癒し系のロボット
 ・QRIO(SONY) 始球式にも登場。
 ・AIBO(SONY)
メンタルコミットロボット(セラピーロボット)  人に安らぎを与えるロボット
 ・パロ(産業技術総合研究所) アザラシ型 生き物を飼えない医療・介護の場でペットの代わりになる。
コミュニケーションロボット(ふれあいロボット)
 ・Robovie(ATR知能ロボティクス研究所)
 ・PaPeRo(NEC) 漫才の相方をする。
掃除ロボット
 ・Roomba(iRobot) 室内で自律動作。掃除範囲を設定できる。
 ・SuiPPi(松下電工) 屋外用。万博会場でも活躍中。
留守番・警備ロボット
 ・番竜(テムザック) 携帯電話から遠隔操作できる。においや音を検知する。
 ・ガードロボ(綜合警備保障) 警備システムの一端を担う。オフィス警備など。カメラの画像を電話回線で送る。
宇宙ロボット 極限環境で働くロボットたち
 ・ROVER(NASA) 火星探査機
 ・宇宙メンテナンスロボット(産業技術総合研究所) 太陽パネルを操作するアームロボット
災害対策ロボット
 ・援竜(テムザック) 車のドアを引きはがす。二次災害が予想されるレスキューの入れない所に遠隔操縦。
各ロボットの位置づけ
map
 (注)マッピングは正確でない可能性あり

 

トヨタパートナーロボット】
 トヨタグループ館のテーマ「21世紀のモビリティの夢、楽しさ、感動」
トヨタグループ館に登場するロボット
 ・ロボットバンド「コンチェロ」
 ・搭乗型ロボットi-foot

 ・ウェルカムショーの楽器演奏ロボット  
   本当にロボットがトランペットやチューバを吹いている。肺にあたるのは空気ポンプ、唇の振動も含め100%効率で音を出す。当初は音が出なかったが、開発チームに楽器をやる人がいてモデルにした。
   ロボットは7台が3組。見分けが付かないくらい同じことをする(ということは微妙にチューニングが違うということか)。DJ役の人は3人。こちらはかなり個性が出る。
ロボットの種類   
 ・二足歩行型 
 ・二輪走行型
 ・搭乗歩行型


楽器演奏ロボットのデザインコンセプト
 ・日本の「和」の文化 親しみやすいイメージ(埴輪、能面)
 ・軽量でスリムなボディ 安全面でのやさしさ
     体格比較 成人男性とほぼ同じ(やや重いが)
開発のねらい
 ・トヨタの理念
   ・モノづくりで豊かな社会
   ・モノづくり、車づくりを通じて社会に貢献する
 ・新たな時代の豊かさへのニーズ 
    多様化・高度化 → 従来の機械では解決できない
 ・将来の日本社会の課題とニーズ
   ・幸せな長寿社会・・・労働力確保
   ・高いGDP・・・・・・・・全工場ロボット化
   ・新モビリティ・・・・・・階段もシームレスに移動
 ・1.28(2004年の合計特殊出生率)
   ・少子高齢化による労働力人口の減少
      2000年と2030年を比較すると  
          総人口700万人減
          労働力人口1300万人減
          労働力人口の人口全体に対する割合
                    62%から55%へ
              ↓
      産業構造の変化  
          第1・2次産業から第3次産業へ
   ・男女の労働力率の将来推移
      男性の労働力率はアッパー
      女性は将来的に少しは上がるが・・・
 ・家庭内ロボットのニーズアンケート結果
   ・ロボットに代替してほしい割合のトップは食事の後片づけ(90%)
 

トヨタパートナーロボットの技術
トヨタグループの産業用ロボット技術
 1980年代~ 工場自動化
  ・デンソーロボット  作業の高速自動化
  ・双腕ロボット    2本の腕の協調
  ・多軸ロボット    作業の汎用性
パートナーロボット開発
 基盤となる技術を集約して夢の実現へ
  ・スカイフック技術
  ・車両運動制御
  ・センサー技術  etc
 開発の方向性
  map2
   愛・地球博をマイルストーンに


 

適用分野に応じた多様なカタチ  
  ・道具を使う アシスタント
     腕・指・口を人と同じように動かして道具を使う
  ・製造現場 二輪走行型(ロボットに合わせて工場を平らにする)
  ・モビリティ 搭乗走行型(不整地。場合によっては6本足も)
二輪移動技術
  ・高精度位置決め 
     人工三半規管 ← 車のヨーレートセンサを発展
     車軸ジャイロセンサ
  ・倒立移動制御
     ロボットの上腕の動きに対して安定
二足歩行技術
  ・人が上手に松葉杖をつく位置
     ジャイロセンサ
     加速度センサ
楽器を演奏するロボット
  ・人工唇  唇の振動を実現
  ・ロボットハンド  人のように管楽器のピストンを操作 
搭乗型ロボット開発の始まり 
  ・若手技術者たちの熱意で始まる(ガンダム世代)
    社内の反対意見:安全性への不安(隠れてやっとった!)
  ・プロトタイプ:UG1号機 ※UG=under ground
    前進、旋回、横行  ジョイスティックで操作
  ・i-foot 
    安全なシェル型キャビン
    乗降性に配慮した鳥脚構造(膝が後ろに折れる)
    ジョイスティックによる操作

ロボットの機能
ロボットの機能
 ・移動装置
   ①車輪式  ②脚式  ③車輪と脚の併用
   ④クローラ式(キャタピラ)
 ・脚式の種類
   ①1足(傘のお化け)  ②2足 
   ③4足 AIBO  ④6足(昆虫タイプ) 
 ・マニュピュレータ(エンドエフェクタのタイプ)
   ①5指ハンド  ②3指ハンド  
   ③グリップハンド(2指)  
   ④マイクロハンド(熱伝水)
 ・アクチュエータ  動力源
   ①モータ  ②エアマッスル(空気の圧力)
   ③人工筋肉(イオン等電性)  
   ④人工筋肉(形状記憶合金)
 ・視覚センシング
   ①ステレオ視(2つのレンズ)  
   ②単視全方位(魚眼レンズ) 
   ③複眼全方位(昆虫;360度)
   ④レーザスキャナ


知能化
 ・小脳のメカニズム
   誤差信号で内部モデルを修正し、意図した動作を実現
   →運動がなめらか、統一した運動
 ・大脳のメカニズム
   世の中のすべての情報がないとロボットは動作できない
   (人にはエイヤする部分があるから動作できる;
    ゴキブリの例、迷路における左手の法則)
          ↓
   サブサンプション構造  単純な自律運動であれば行動反射により動作可能

将来のロボット開発
未来のディーラーのイメージ
 ・サービス工場
  ・パワーアシストスーツを身につけて自動車の下に潜り込んで作業
  ・2輪のロボットが部品を棚から取り出し
 ・販売店
  ・2輪のロボットがお茶をサービス
  ・二足歩行のロボットが車のそばでご説明
 ・パワーアシスト技術
  ・インパネ搭載スキルアシスト
     人力では重すぎる50kgのインパネを思った位置に留めるのは困難
     →2001年、世界に先駆けて実用化;初心者でもベテラン並の作業(±15mm)
  ・ウェアラブルアシスト
     人が身につける → 楽 : 力をアシスト
                  正確 : 技をアシスト
●ワイヤー駆動技術の開発
  ・筋肉位置にアクチュエーターを配置
  ・ワイヤー駆動で世界初の二足歩行
  ・人との接触や衝突時の安全性
  ・将来は ウェアラブルなパワーアシストや人工筋肉として
  ・阿波踊りロボット
    ※搭乗型のプロトタイプなどもあわせてTOYOTAのHPに動画があった。

他分野への応用
福祉介護への応用
  ・歩行支援  移動腰掛け、立ち上がり補助、医療器具搬送、入浴介護
  ・車いす
     ・インテリジェント車いす(音声認識、画像認識)
     ・搭乗型二足歩行ロボット(不整地での移動)
ロボットとのふれあい
  ・チャイルドケアロボット
  ・セラピーロボット
  ・案内・警備ロボット
  ・看護・介護ロボット
開発技術の応用展開
   
車、介護機器、パートナーロボット、工場・現場、住宅
     ※車 自動運転、運転支援、高機能ナビ→ロボットカー
  ・画像認識、生態計測、HMI表示、音声会話(認識)、人工知能(知能化)

ロボット開発の意義
国内市場予測
  ・
ますます拡大  2025年には7兆円規模へ
  ・パートナーロボットの市場としての可能性
      総合ロボット会社------製作協力メーカー
                      ソフト協力メーカー
      広い総合産業になっていく
  ・産業ロボットの人口比
      1位 日本  日本人1万人あたり308台
      2位 ドイツ              135台
     特許出願件数でも日本がダントツ
若者の夢
  
・科学技術の粋を集めたロボット開発は、21世紀のグランドチャレンジ
  ・科学立国日本を盛り上げてゆきたい
●夢のパートナーロボット
   建設・レスキュー、海底探査、原発作業、宇宙探査・・・
      夢の実現を求めて開発を進めている

Q 介護分野でロボットは使えないでしょうか?
A いまのところパートナーロボットには患者さんをベッドから起こす力はありません。単機能のロボットならできますが、大きなモーターが必要です。将来は人間並みの体格のパートナーロボットでやれるようにしたいです。
Q それはいつ頃実現するのでしょう。
A 私たちは開発のロードマップを持っています。2010~15年にはそういうロボットを作りたいと思います。それまでには実際に現場で使ってみて修正するという作業がたくさんあるでしょう。
Q ロボットはリサイクルできる素材で作られていますか?
A リサイクルを考えています。いま、自動車部品のリサイクル率は8割ですが、9割に上げたい、ロボットでは100%を目指したいです。ただ、パートナーロボットはパートナーとしてかわいがっていただきたい。解体するのではなく再生して長く使ってほしいと思います。
Q 人工筋肉の開発はどこまで来ていますか。
A 海外の大学と共同で進めています。いまは力が出せるようにはなりましたが、耐久性に問題があります。まだ実用レベルではなく、研究段階です。素材の開発が必要です。実用域が見えてきたとは言えないレベルです。
Q 技術屋さんが意外に人間くさいようですが、そのあたりはどうでしょう(愛工大森教授)
A ロボットは疑似人間です。研究に深く入れば入るほど驚きがあります。一面では人間を越える能力を持つロボットも生まれてきています。ただ、最後の最後まで、すべてにおいて人間を越えるものはできないと思っています

(お断り)この講義ノートは私個人のメモと記憶に頼って書いていますので、間違いや欠落もあるかもしれません。その点をお含みの上お読みくださり、間違い等があればご指摘いただけると幸いです。

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